三月の転校生

中学生雑誌ニコラに関する考察

【詳しく解説】ニコモのアクスタが当たる百年構想キャンペーン応募方法

ある日の放課後。夕闇が深まり、お香の香りがさらに濃く立ち込めるオカルト研究会の部室。

ガチャン! と、勢いよく扉が開くと、きんぱつが息を切らして飛び込んで来た。

「まじかる! まじかるいる? ちょっとこれ見て、バイブスぶち上がり案件なんだけど!」



この声に、テーブルの上の水晶玉を覗き込んでいたまじかるが、ゆっくりと顔を上げた。

「騒々しいですね、きんぱつさん。一体、どのようなご啓示が?」

きんぱつは、その質問に答えるより早く、自身のスマホの画面を、まじかるの鼻先に突きつける。

「これ! これ見てよ。ニコラネットに出てたやつ! 明治安田Jリーグ百年構想キャンペーンで、ニコモちゃんのアクスタが当たるんだって! ガチで可愛すぎて死ぬ!」

ぽにても、横から画面を覗き込んで。

「あっ、これプチモちゃんのもあるんだ。実は私、末永ひなたちゃん推しなんだ。でも、応募の方法がちょっと複雑じゃない? 私もよくわからなくて」

ここで、二人の視線が、まじかるに集まる。

「かしこまりました。では、勝利への道筋を、このホワイトボードに記しましょう」

そう宣言すると、まじかるは静かに立ち上がり、魔法陣を避けてホワイトボードの前に移動する。

そして、黒のマーカーを手に取ると、何やら図を書き始めた。

やがて、図を書き終えたまじかるは、二人に向き直って。

ニコモのアクスタを手に入れるには、三つの高いハードルを越えねばなりません」

図を指し示しつつ、続けて。

「第1のハードルは《応募条件を満たしてエントリーすること》で、第2のハードルが《A賞(明治安田賞)または、B賞(イオン賞)に外れること》です。そして、第3のハードルが《その後のWチャンス賞に当選すること》となります」

「ん? ちょっと待って!」

きんぱつが眉をひそめた。

「第2の『外れること』って何? 逆じゃね? 外れたらアウトっしょ!」

「いいえ。ここが今回のキャンペーンのトリッキーな点でございます」

まじかるが、瞳の奥を光らせて。

「そもそも、ニコモのアクスタは、本賞であるA賞・B賞から漏れてしまった者への『救済』、いわば『残念賞』という意味を持っているのです。A賞は各チームのオリジナルベースボールシャツが、B賞は観戦チケットが、それぞれプレゼントされるわけですが、一般的にはこちらが『当たり』とされ、多くの人は当然ながらこちらを目当てに応募します」

「あー、なるほどね」

ぽにてが納得したように頷く。

「でも、私たちはチケットより、アクスタが欲しいから・・・」

これにまじかる、被せるように。

「その通り! 私たちニコ読の本命は、あくまで『Wチャンス賞』。つまり、チケットやユニフォームが当たってしまうと、その時点でアクスタは手に入らなくなるのでございます」

きんぱつも理解して。

「ウケるww もし、本賞の方が当たっちゃったら、アクスタもらえないから『ぴえん』ってことね」

ここでぽにてが、本題に話題を移す。

「じゃ、肝心の応募条件は? どうすればいいわけ?」

「では、具体的な条件を説明しましょう。まずは明治安田賞の場合、応募フォームに『LCコード』なるものを入力することが必要です」

「しー?える?こーど? 何それ? ・・・呪文かっ!」

きんぱつが首をかしげる

「いいえ。LCコードとは、明治安田生命の営業担当者から教えてもらえる特別な10桁の番号でございます。つまり、お父様やお母様に頼んで、担当の方に問い合わせてもらわねばなりません」

「えー、マジめんどそー! だいたいウチの親、保険とか入ってるかな? ってか、いま話題のプルプルなんちゃら生命だったら草なんだけどww」

ぽにても不満そうに。

「うーん、ハードル高いよね。そうだ! じゃあイオン賞は?」

気持ちを切り替えて、ぽにてが尋ねる。

「はい。イオン賞は、その名の通り、イオンで2,000円以上のお買い物をし、そのレシートをスマホで撮影。応募フォームに添付することが必要になります」

「えー、2,000円!?」

きんぱつが叫んだ。

「それ、スタバ3回分くらいじゃん! うちのお小遣いじゃムリポ・・・」

これにまじかる。あくまで冷静に。

「いえいえ、ちょっと落ち着いてください」

たしなめるように言う。そして続けて。

「親御さんとイオンへ買い物に行った際、レシートを確保するのです。それがアクスタという名の秘宝(アーティファクト)を手に入れるための最大の近道なのです」



まじかるはマーカーを置くと、最後に二人を振り返りって。

「いずれにせよ、イオン賞も明治安田賞も、私たち中学生はもちろん、一般の方にとっても少々手間のかかる条件でございます。ですが、だからこそ、ライバルが減り、当選確率は高くなる。応募の儀式を完遂できる者こそが、勝利を掴むのです」

「確かに。みんなが『面倒くさ』って諦めるなら、出したもん勝ちってことか!」

きんぱつが気合を入れ直す。

「よし、今度お母さんにお願いして、イオン連れてってもらう。で、Jリーグも見たいって言えば、レシートくらい協力してくれるかも」

ぽにての言葉に、まじかるが深く頷く。

「アクスタの女神が誰に微笑むのか。それは、皆さんの運と努力次第でございます」