■応募総数が大幅マイナス
オーデ対策サイト「ピチモオーディション予備校」を毎年主催し、ここ数年の実施状況をつぶさに見続けている身として、今回のオーデ結果に愕然(がくぜん)としました。
もちろん、巷(ちまた)で言われる、「事務所組5人vs一般応募わずか1人」という合格者の構成比も大いに気になりますが、それ以上に応募総数がショックだったのです。
なんと、去年の「約10000人」から、一気に大幅1500減となる「約8500人」。たった1年で、15%もの人が、Pichileのオーディションに興味をなくし、応募するのをやめてしまったのです。
■減少は11年ぶり
しかも、さらにショックなデータがあります。ラブベリーやハナチュー、メロン、CANDyといった、自前でオーディションを実施していた中学生雑誌の、相次ぐ休刊の影響もあり、Pichileのオーデは、回を重ねる度に応募総数を伸ばしていたところ。
その数字は、2004年を起点に、毎年一貫して増え続け、去年、ついに1万の大台に乗ったわけですが、その増加記録も今年でストップ。なんとなんと、11年ぶりに減少に転じたのです。
ということで、以上の話を踏まえた上で、次のグラフをみてください。これは、今年含め過去5回分のピチモオーディションの応募総数の推移をまとめたものです。
■応募総数の推移
■まさに急落
2013年まで、毎年9000前後で安定して推移していたところ、2014年に大幅アップ。で、そこから一転して今回の急落。いかに、今年の応募総数が少なかったか、良く分かると思います。
では、どうして2014年は急増し、今年は一気に急落に転じたのか。その原因はいったいなんだったのか。必ず理由があるはずです。
■応募総数の意味
まずは、原因を考える前に、その前提知識として、応募総数の意味について、ちょっと触れておきます。そもそも、応募総数は、何を意味するのか。
実は、オーディションの応募総数とは、オーデそのものの規模を端的にあらわすわけで、つまりは、部数に次いで分かりやすい雑誌の人気の指標となりえます。
その雑誌の専属モデルになりたい。大好きな雑誌の誌面に載りたい。憧れのモデルと一緒にお仕事したい。
そう思う人が多ければ多いほど、応募総数は増え、人気の雑誌が主催するオーデは、必然的に規模も大きくなるわけです。
逆に、雑誌の人気がなくなれば、もしくは、オーデに不審な点があれば、当然に応募総数は減るわけです。で、まさに今回のPichileがこのパターン。では、その原因はどこにあるのか?
■読者無視のオーディション
もちろん、三月の転校生で、何年も前から繰り返し繰り返し、指摘し続けている通り、ピチモオーディションの「プロ偏重・一般応募が極端な不利な選考」が原因です。
具体的には、一般応募はほとんど無視され、最終的には、芸能事務所に所属している人しか受からないこと。この1点に尽きます。
2014年が「一般1人」に対し、事務所に所属する「プロが3人」。そして今年はというと、「一般1人」に対し「プロ5人」。
もはや、編集部が「とりあえず、一般読者も応募可能というルールにしているのだから、さすがにゼロだったら問題になる」と考えてかどうかは知りませんが、とにかく、近年のピチモオーデの一般枠は、申し訳程度にたった1つしか存在しないのが現状です。
■今年のオーデは過去最悪
以下のグラフは、過去5年分の「合格者に占める事務所所属者の割合」を各回ごとに出したものです。
いまも、当時を知る人たちの間で「やらせ」だの「出来レース」だのと、散々な伝説になっている2009年オーデも酷(ひど)かったですが、それでも事務所占有率は50%。そして、去年の時点で過去最悪となった、2014年が75%。
で、今回。正真正銘ピチモオーディション史上、最悪の数字を大幅に更新する事務所占有率84%となったわけです。
まさに、一般応募者完全無視のオーディションとしか言いようがありません。
■合格者に占めるプロ率
■オーデ2次から完全分離
そもそも問題なのは、去年に続いて、今年のオーデでも、2次審査の段階で、一般応募と事務所組との区分けがなされたこと。
具体的には、集団面接の時間を、一般組とプロ組とで、午前・午後に分けて、完全分離の上で実施しているのです。
もちろん、一般組については、合格後の所属事務所を決める上で、各事務所関係者が立ち会うといった理由もあるでしょう。
しかしそれでも、この最終結果が全て。一般からは、たった1人しか採用しないのに、いかにも「あなたもピチモになれる」「夢がある」などと応募を誘い、多くの読者に期待と希望を抱かせながら、けっきょく合格するのは、一部の事務所に所属するプロばかり。
そこまでして事務所組が欲しいなら、なにも募集段階で、一見「公平なオーデです」「誰にでもチャンスがあります」と、いい顔せず、いっそのこと「基本、事務所組を採用します」「一般はオマケ程度に1人しか採用しません」と、募集ルールに入れてはどうでしょうか。
■1枠を争う超難関オーデ
合格率「6/8500」と「1/8500」とでは大違い。応募総数のうち、その実態はわずかしかいない事務所組が5枠も取り、一方で、応募者の大半を占める一般組は、たった1枠しか与えられない。こんな理不尽なことはありません。
またまた三月の転校生で、これまでずっと書いてきていますが、こんなオーデをやっていては、必ずや読者に見捨てられます。
そしていま、現実にPichileのオーデが見限られつつあることが、ハッキリと露見したのが、この応募総数といえるのです。
■前年のオーデの結果に反応
続いて、最初に出した、もう1つの問いに戻ります。「今年減った理由」は、以上述べてきたとおりですが、では「去年増えた理由」は何なのでしょうか?
するとこれは、それぞれ前年のオーデの結果に左右されていることが、ハッキリわかります。前年のオーデが"良いオーデ"なら、翌年のオーデの応募総数が増える。逆に、2014年のような"悪いオーデ"なら、翌年は減る。当たり前といえば当たり前ですが、キレイに連動しているのです。
■前年の"質"に比例の図
■良いオーデと悪いオーデ
具体的にみてみると、応募総数が過去最多となった去年のオーデは、その前年、つまり2013年オーデがすばらしかったわけです。なんといっても、2013年はピチモオーデ史上ではじめてとなる「一般限定オーデ」でした。
結果、芸能活動経験のない鶴嶋乃愛ちゃんや日達舞ちゃんたちが合格し、その後、着実に読者の共感を得つつ、人気が上昇し、今にいたるわけです。
こうして、一般応募から大挙4人もが合格したことで、当然に翌年の2014年オーデへも期待が高まり、実際、同オーデが、過去最多の応募総数を記録することになったわけです。
■裏切られて激減
では、今年のオーデ応募数が激減となった直接の原因である、問題の2014年オーデはどうだったか。
2013年のように、「一般からきっとたくさん受かるのでは」と、多くの読者が希望を持って殺到したにもかかわらず、蓋(ふた)を開けてみれば、当時で最悪記録となる事務所率75%。一般合格は黒川心ちゃん、ただ一人だけという惨憺(さんたん)たる成績。
応募総数が、史上初めて1万を超えた記念すべきオーデなのに、現役アイドルや、ニコプチ卒業生、芸能人の娘といった「プロ組」が合格枠を独占し、その他大勢の一般応募組は弾き出されてしまいました。
■読者に見抜かれている
もはや、一般応募は受からない。事務所に所属している人ばっかり。プロ優先。どうにも不公平だ。やがて、そういった声は「こんなオーデ、応募しても無駄だ」に変わります。
現実に、応募総8500と、前回の10000から、実に1.5割も減ったこと。さらに、10年連続で増加していたのに、今回、はじめて減少に転じたことは、そういった声が、いよいよ読者の間に浸透しつつあることを意味しています。
■今こそオーデルールの再考を
編集部は、この応募総数大幅減という意味をしっかり考え、一般の応募者の声なき声を重く受け止めなくてはなりません。
具体的には、来年のオーデからは、「オーデは一般限定にする」「事務所組は非オーデで採用する」の住み分けを実施し、応募ルールに「応募時、芸能事務所に所属していないこと」を追加すべきです。
いうまでもなく、ニコラのオーデは、初回以来、ずっとこのプロと一般との「住み分け」を実施してきているのですから。
■リニューアルより先にすべきこと
リニューアルなんかして、外見を飾ってる場合ではありません。ちょっとメディアで話題になったからといって、うかれている場合でもありません。
こんなことで、長期的に売り上げが伸びるはずがありません。そんなことより、まず先にやるべきことがあります。
もちろん、これから真っ先に取り組むべきは、Pichileの根幹である専属モデルを採用するオーデのルール改正すること。これ以外にありません。
ピチモに憧れ、オーデに挑戦する一般応募の読者からの不信を払拭(ふっしょく)し、誰もが安心して応募できる真に公平なオーデにすることこそが、これからもPichileに最も必要なことなのではないでしょうか。