◆ティーン誌 学研編
学研発行の小中高向けファッション雑誌について、創刊・休刊の歴史を年表形式で図解してみました。
同社のティーン誌は、1982年創刊の「Lemon」に始まり、86年創刊の「ピチレモン」。そして2003年創刊の「アネピチ」、さらには2012年創刊の「キラピチ」へと続きます。
ということで、以下これら4誌について、まずは年表を示しつつ、具体的に解説していきます。
◆ティーン誌創刊・休刊図
◆図の見かた
タテ軸は「対象読者」。ヨコ軸は「年代」となっています。上に行けば行くほどオトナ向けで、下はコドモ向け。年代でいうと、左が古くて、右が現代となります。
また、雑誌名の下に入っている数字は、「創刊年⇒休刊年」です。キラピチのみ、現在も続いているので、休刊年は入っていません。
◆はじまりは「Lemon」
ピチレモンの起源は、同じ学研発行の高校生向け雑誌Lemon(レモン)となります。
その名の通り、ピチレはLemonの妹版。対象読者をLemonの1つ下の世代、つまりは中学生に定めた雑誌として、いまからちょうど30年前の1986年にスタートしたのです。
◆妹誌として
中学生雑誌の「ニコラ」に対して、その妹誌が小学生雑誌「ニコプチ」となっているように、高校生雑誌Lemonに対して、その妹誌が中学生雑誌ピチレモン。プチかピチかの違いこそありますが、コンセプトは全く一緒といえます。
ところが、やがてLemonの勢いがなくなります。部数も落ちて、98年に休刊。で、これを機に学研は、本格的にピチレに力を入れはじめ、その後は、中学生雑誌ナンバーワンの座に上り詰めます。
とくに、2000年の前後数年間は、まさにピチレの全盛期。休刊時(2015年)7万部の4.5倍となる、30万部以上を売り上げていました。
◆ピチ読の受け皿
これに気をよくした編集部。せっかくピチ読が30万人もいるのですから、その受け皿を作らない手はありません。
具体的には、高校生になってピチレを読むことを卒業したピチ読向けに、次に読む雑誌を用意することにします。
黙っていれば30万読者はごっそり、他社の「セブンティーン」をはじめとする高校生雑誌に取られてしまいかねないからです。
◆再び高校生雑誌
そこで「アネピチ」。学研の高校生雑誌としては、Lemon以来の復活です。加えて、タイトルも、より単純で、ピチレモンのお姉さん誌だから、"アネ(姉)"ピチというわけです。
こうして、原始であるLemonの妹が"ピチ"レモン。で、ピチレモンの姉が"アネ"ピチという、タイトル一部継承の流れが完成します。
◆大誤算!
ピチ読を卒業した読者はもちろん、ピチレを卒業した専属モデル"ピチモ"も、そのままモデルとして引き受けるという、世紀の一石二鳥"アネピチ"大作戦ですが、蓋を開けてみたら、思いもよらぬ大失敗。
アネピチ(後に「ファプリ」にリニューアル)の部数は伸び悩み、2年ともたずに休刊となってしまいました。(⇒参考:アネピチ再び)
当時といえば、創刊10周年を迎えるニコラが本格的に部数を伸ばしてきた時期でもあり、かつ、中学生雑誌自体が6誌も乱立する時代。(⇒参考:6誌乱立時代)
中学生雑誌(ピチレ)で囲い込んだ読者を、そのまま自社の高校生雑誌(アネピチ)に移行させる計画も、現実はそう甘くはありませんでした。
◆妹誌
そして2012年、「ニコプチ」「JSガール」といった低年齢化ブームに倣い、こんどは妹誌に目を向けた学研。いよいよ学研初の小学生雑誌「キラピチ」の登場です。
とはいえ、すでにLemonの妹としてのピチレにて、「ピチ」が使用済みとなっていて、タイトル継承の選択肢は狭まります。
そもそも、"レモン"を継承するなら「レモン(高校)⇒ピチレモン(中学)⇒ピチピチレモン(小学)」になってしまうわけで、そこで同誌は必然的に「ピチ」を継承。これに「キラ」をつけてキラピチとしました。
◆生き残りはキラピチ
ご存知の通り、2015年のピチレ休刊により、学研のティーン誌はいま、キラピチのみが生き残っている状態。
幸いキラピチは、部数も好調で、意外にもニコプチに並ぶとのこと。このままある程度の読者が獲得できれば、やがてはキラ読の受け皿として、再びお姉さん雑誌の構想が出てくるかもしれません。
まだ当分先の話ではありますが、そうなったら、ピチレ復刊も現実味を帯びてくることになりそうです。