◆TNMステージ1
TNMのステージ1における最大の衝撃は、なんといっても白井杏奈ちゃんの順位が圏外だったことではないでしょうか。
そもそも杏奈ちゃんは、小6でニコラに合格した後、中2で海外ロケ、初表紙、レピピブックを全て経験。一躍、世代トップとして定着していたエース候補だったわけです。
そんな杏奈ちゃんが今回、多くの表紙未経験の後輩たちに抜かれ、なんと9位にすら入ることができませんでした。
ということで今日は、ステージ1の読者投票で、杏奈ちゃんが圏外に転落してしまった理由を検証します。
◆3つのキーワード
結論から言うと、杏奈ちゃんの票が伸びなかったのは、「編集部の誘導」「投票率1%」「"優等生"ニコ読の活躍」の3つに尽きると考えられます。
編集部が「こうあって欲しい」と望む結果に誘導しようと様々な仕組みを演出し、それに素直に反応した(実は引っかかった)優等生ニコ読のみなさんという構図。
そして、そんな一連の「共犯関係」が成立したのは、ひとえに投票率の低さによるものです。
それでは以下、これら3つのキーワードを中心に、今回なにが起こったのか。どうしてこんな結果になったのか。具体的にみていきます。
◆ステージ1の結果(編集部評価入り)
◆編集部の意図
改めて、上に示した今回のステージ1の投票結果一覧を、特に「評価欄」に着目しつつ、眺めてみて下さい。
1位の黒坂莉那ちゃんと2位の広瀬まのかちゃんは、ともに編集部が事前に公表した「A評価」の2人。まさに、2人しか出さなかったA評価のコによって、みごと1位&2位が独占されたわけです。
実際、12月号の誌面では、2人の写真だけが最初のページに大きく掲載されました。周囲の小さい写真も「GOOD」評価付きで、とにかく絶賛コメントが添えられています。
ようするに、「私たちプロが審査した結果、A評価となったのはリナ&マノカだけ。読者のコたちは、この2人投票して」という上からの押しつけ以外のなにものでもありません。
◆読者はどう答えたか
この点、本来ならニコ読は、「それでも私は○○ちゃんに投票する!」「△△ちゃんを応援する!」と、強い意志を持たなければなりませんでした。
しかし、結果はどうなったか。1位&2位がA評価の2人だったのはもちろん、上の一覧の通り、もう3位から9位まで、草野星華ちゃんを除いた2番手グループであるB評価のコたちが全員、ずらりと並ぶことになってしまっています。
もはやこれでは、読者サイドの完全に負け。編集部による「プロが選んだA評価・B評価のコ投票するように」という無言の誘導に、あっさりと引っかかってしまったのです。
◆ネガキャンはNG
とはいえ、百歩譲ってここまでは許容範囲。編集部として、将来のエースに想定する特定のコを強くアピールのは、関りおんちゃんを徹底して推したラブベリーや、福原遥ちゃんを単独エースに仕立てたピチレモンなどなど、他誌でも普通にあったことだし、アイドルの人気投票でもよくある手です。
むしろ、ありえないのは、編集部、つまりは主催サイドによる、特定のコに対するネガティブキャンペーンの方です。
それは「メルTV」で公開されたステージ1の審査風景動画。ここに、あきらかに誘導を超え、もはややり過ぎといえるシーンがありました。
◆ありえないシーン
「クルミはポージングが1番下手!」「アンナは太ってるから服がキレイに見えない!」「サキは服の見せ方が分かってない!」
対して、莉那ちゃんのシーンはどうだったか。「リナは最近ポージングが上手くなってる☆」「動きが自然☆」
なぜ、絶対的に読者投票に不利になるシーンが、未来実ちゃん(⇒圏外)と、杏奈ちゃん(⇒圏外)と、咲綺ちゃん(⇒圏外)だけだったのか。なぜ、他のコには同様のシーンはなかったのか。なぜ、確実にプラスとなる、ほめられるシーンは莉那ちゃん(⇒1位)だけだったのか。
思えば、今回のTNM読者投票の2倍、3000人近くが投票したうちサイト主催の人気投票「ニコモ総選挙」では、杏奈ちゃんと莉那ちゃんはほぼ同等に人気を分け合っていたし、池未来実ちゃんについては、まのかちゃんの2倍の票を獲得していました。
それが、編集部のイジワルな演出によって、「このコは編集部から怒られてる」「太ってるならモデル失格なんじゃ?」「ここは莉那ちゃんに投票すべきなのかも?」と、純粋で素直なごく一部の読者さんたちはイメージ操作(洗脳)されてしまい、結果、そのままそれが投票に結びついてしまったといえます。
◆一部の優等生ニコ読
ここで、編集部の誘導に引っかかったのは「一部」と書きましたが、もちろん、ごく一部にすぎません。
こうして今、三月の転校生を読んでる、良くいえば「自分の意見を持ってる」「自分の頭で考えられる」、悪く言えば「あまのじゃくで擦れた」ニコ読さんをはじめ、その他の多くの読者さんも、そう簡単に、これほどあからさまな誘導に引っかかることはありません。
では、なぜ引っかかったのか。ここで大きな問題となるのが、ただでさえ投票するのがめんどくさい上、締め切りまで7日しかなかったという点なのです。
限られた時間で、細かいアンケートに答え、わざわざお金を出して切手をはって、締め切りまでに提出する。実はTNMの投票は、夏休みの宿題を最初に終わらせるような、いわゆる「優等生」に有利な制度となっていたのです。
で、そんな優等生さんはといえば、普段から親や先生の言うことを良く聞く、素直な「いいコちゃん」たちなわけで、今回のTNMの結果からも明らかな通り、編集部の言うことをそっくりそのまま受け入れ、信じ込み、それに従ったというまでです。
◆投票率から
ではここで、以下のグラフを見て下さい。これは、今回のステージ1の投票率をまとめたものです。
ちょっと前に書いた「TNMの投票率を検証する」では詳しく計算式を出しましたが、ニコラの実売部数14万部に対し、ステージ1の総投票数は1600通。投票率はわずか1.2%にすぎません。
ただ、この1.2%が全ニコ読の中から無作為に選ばれた1600人なら、まだ"まし"だったわけです。全体の縮図として、そこそこ、読者の総意を反映したものとなったはずです。
しかし、選び抜かれた几帳面で真面目な優等生さんばかりが1600人そろったため、見るも無残。みんなが画一的に、編集部の示すA評価、B評価のコへと殺到することになってしまったのです。
◆投票した人・しない人
◆ルール変更
さて、話はステージ2。今回、ルールが大幅に変わりました。さすがに編集部も、ステージ1の結果を集計している中で、これはまずいと気づいたに違いありません。「誘導が効きすぎてる!」と。
そこでステージ2から、誌面では審査員の評価による写真の大小の差が少なくなり、そもそも誰がAで、誰がBなのか、評価自体が小さい文字で見えずらくなっています。
とはいえ、代わりに編集部が独断で決めるボーナスポイントが設けられたことで、暗に誘導するのではなく、より表立って特定のコをクローズアップすることができる制度になっただけかもしれませんが…。
他方、メルTVはどうなったか。本日公開されたステージ2の動画も、これまた改良。「大人の喋り」で誘導する部分は、後半47分からの2分間だけにとどまり、しかも具体的な個人名も出されていません。残りは全部、アスレチック対決の様子がそのまま流される形となっています。
◆99%が棄権
編集部が煽りに煽って、ついにスタートした大型企画TNM。ですが、始まってみれば、ルールの不備や、あからさまな誘導が目に余り、企画自体がまだ良く練られていなかったことが見えてきました。
なにより、99%が棄権する中、たった1%のニコ読が、将来のエースを決めてしまうのは、やっぱり間違っています。
これで、「ニコ読みんなで選んだエース」と言われても、多くの読者にとって、しっくり来ないのではないでしょうか。
もちろん、ニコ読の誰にでも投票する権利とチャンスがあるわけで、「投票しないのが悪い」と言うこともできますが、それは投票しやすい環境づくりがなされていることが前提であるのはいうまでもありません。では、どうすべきか。
◆どうすべきか?
たとえば、ポップティーンの元祖表紙バトルのように、結果発表をすぐ後の次号にするのではなく、2カ月先にすること。こうすることで、読者投票の集計も、通常アンケート分の締め切りで対応でき、投票率はグッとアップします。
もしくは、ピチレモンの表紙バトルのように、投票も集計も簡単にできるネット投票を使ってもいいかもしれません。
とにかく、なぜ編集部はそんなに急ぐのか。どうしても結果をいち早く集計&発表したいなら、それこそ公式ツイッターやインスタグラム、動画サイトで発表すればいいだけです。
◆みんなが参加できるように
繰り返しになりますが、発売直後の6日締め切りでは、投票できる人が限られ、ごく少数の特定の読者しか参加できなくなってしまいます。
そして、特定の読者しか参加しなければ、結果は偏ったものになるというのは、今日の前半で書いてきたように、すでに証明済み。
であれば、このまま最終決戦まで行っても、せっかく誕生した優勝者に対し、ケチがつくことになってしまいかねません。
99%の声が無視された、投票率1%のTNM勝者に、果たして意味はあるのでしょうか。
今からでも遅くありません。編集部には、より多くの読者が参加できる制度に、改めていってほしいと思います。