系列化
小中学生向けファッション誌Cuugalは、2022年6月号より、発売元が東京ニュース通信社から角川春樹事務所に変更となっています。
角川春樹事務所といえばPopteenの発売元であり、要はキューーガルが正式にポップの妹誌になったわけです。
では、これにより小中学生雑誌の勢力図はどう変わるのか。今日は、”系列化”をキーワードに最新の情勢を見ていきます。
系列化の意図
今回のキューーガル買収に付き、出版社はその意図を以下の通り説明しています。
小中学生対象の「Cuugal」を卒業した読者を
中高生を対象とする「Popteen」へ誘導。
雑誌間の連携を、より強化するため。
⇒引用元:プレスリリース
新潮社の場合
ご存じの通り、もともと「小学生雑誌⇒中学生雑誌」の連携については、新潮社が先行していました。
主に小学生を対象とするニコプチを卒業した読者には、中学生雑誌としてのニコラを用意。
そのまま、続けて読んでもらえるよう誘導する「ニコプチ⇒ニコラ」コースは、すでに確立されています。
その際、最大の目玉とのなるのが進級制度。めあここ、るきゆなといったニコプチの人気モデルを、読者と一緒に”進級”させることで、荷崩れを防ぐ狙いがあります。
学研の場合
これに、キラピチの学研も続きます。今でこそ、キラピチの連携先である中学生雑誌の方が休刊となってしまいましたが、2015年までは「小学生雑誌(キラピチ)⇒中学生雑誌(ピチレモン)」コースがしっかり用意されていました。
そして、こちらも新潮社同様、両誌の間には優先移籍制度が存在し、山本花織さん、村瀬リリヤさんといったところが、年に1枠限定で”進級”していました。
なお、ときどき「キラピチ出身」と間違われることもある福原遥さんは、あくまでピチレの専属。当時、創刊間もないキラピチのテコ入れに駆り出され、ゲストとして誌面や表紙に登場していました。
角川の場合
で、今回。こうした小中学生雑誌の”系列化”に、新たに角川春樹事務所が参戦して来たというわけです。
しかもさっそく、進級第1号として、フォロワー280万を誇る超有名テックトッカーにして、Cuugalでは専属より上位扱いの「キューガルイメージモデル」だったHinata(野々山ひなた)さんのPop行きが発表されています。
今後、こうしてニコプチ同様、Cuugalのトップや人気モデルが、ポップへと進級する「Cuugal⇒Pop」コースが確立していくことは間違いなさそうです。
新潮社vs.角川
ということで、以上みてきた小中学生雑誌の現況を、図にまとめるとこんな感じ。
最新の小中学生雑誌界は、系列化の進む新潮社勢vs.角川勢の2大勢力を中心に、小学生雑誌を単独で展開する学研が間に割って入るといった形となっています。
小中学生雑誌の現況
移籍パターン
ついでに、ここまで見てきた新潮社系(ニコラ&ニコプチ)、角川系(Cuugal&Pop)、キラピチに、集英社の中高生雑誌セブンティーンも加えた計6誌について、それぞれの雑誌間における移籍・進級パターンも確認します。
現在まで、各誌の間で異動実績があるのは、以下の図の中に矢印が入っているケース。
さすがにスペースの関係もあり、「ニコプチ⇒ニコラ」の進級や、「ニコラ⇒ST」行きなど、多数の実績がある場合は、一部の代表者の名前のみ表記しています。
移籍・進級パターン
Cuugal起点
すでに見てきた通り、今年の春から系列化がなされた「Cuugal⇒Pop」コースには、Hinataさんが該当。
一方、「Cuugal⇒ST」コースは、現在ミスセブンティーン2022のファイナリストに残っている河村ここあさん。実際、まだ最終合格発表前ではありますが、間違いなく合格確実ということで入れてみました。
プチ起点
新潮社系の「ニコプチ⇒ニコラ」コースは、いわゆる”内部進学”としての進級。毎年、プチモ卒業生から選び抜かれたトップ2人が異動しています。
他方、ニコプチ卒業後、間にニコラを挟まず、直接ミスセブンティーンによりST専属となる「プチ⇒ST」コースも存在し、こちらは古くは2010年の三吉彩花さんから、2020年の藤村木音ちゃん、2021年の森崎美月ちゃんなど多数が該当。
また、プチ卒業後、直接ポップに行く「プチ⇒Pop」コースとしては、なんといっても今、最も売れている生見愛瑠さんが代表例です。
ニコラ起点
ニコラ卒業生の最大の引き受け先といえば、すでに10年以上続いている伝統の「ニコラ⇒ST」コースがあります。
ここでは、清原果耶さん、久間田琳加さん、秋田汐梨さんなど多数の成功例アリ。
一方で、2017年の鈴木美羽さんを最後に、現在は止まっていますが、あの藤田ニコルさんに代表される「ニコラ⇒Pop」コースもあったりします。
注目点
ということで、今後の注目点は、「新潮社系」「角川系」の2大勢力による系列化により、小中学生雑誌モデルの卒業後の移籍関係がどう変化していくのか。
具体的には、ニコラでは干されていた(本人談)藤田さんを開花させた「ニコラ⇒Pop」コースや、プチ時代ほとんど注目されていなかった生見さんを発掘した「プチ⇒Pop」コースといった陣営をまたぐ移籍が、今後は無くなっていくのか。
まとめ
そして結果的に、両陣営が、それぞれのお姉さん誌へと優先的にトップモデルを供出するようになり、系列間での囲い込みがますます進むのか。
さらには、ニコラの広瀬まのかちゃんや、Cuugalの河村さんがミスSTに挑戦したように、セブンティーンが共通の受け皿となり得るのか。
これからしばらくの間、乃木坂5期を輩出したキラピチ含め各小中学生雑誌の卒業生の行き先が、大いに注目されるところです。