三月の転校生

中学生雑誌nicolaに関する日記

リニューアルした中学生雑誌は1年以内に100%休刊の法則

前例に学ぶ

f:id:GYOPI:20150705020923p:plain:right三月の転校生の新連載「Pichileのリニューアルについて考えるシリーズ」の第3弾。(⇒参考:リニューアル考察

先週の第2弾では、最新のピチ読の学年層との関係から、主に今回のリニューアルの"良い面"を取り上げて紹介したわけですが、今週は全く逆の視点から。

過去、リニューアルを実施した中学生雑誌の前例&その末路を参考に、休刊をキーワードに考えます。

リニューアルとは?

まず、大前提として、雑誌のリニューアルは、なぜ必要なのでしょうか。いつ、どんなときに行われるのでしょうか。

そもそも、順調に売れているなら、もしくは、少なくとも現状維持であるならば、リニューアルなど必要ないはずです。

実際、常に20万部を超え、安定して売れているニコラが、一大リニューアルをしたなどという話は、ここ数年、聞こえてきません。

窮余(きゅうよ)の策

あえて、これまでのやり方を大きく変えて、大切に積み上げてきたものをぶっ壊し、変革を断行する。古くからの読者の反発を覚悟の上で、今までの誌面をガラッと一新する。

ようするに、一発大逆転狙い。基本、リニューアルとは、そこまで追い詰められている雑誌が、実行するものなのです。

ということで、なにはともあれ論より証拠。過去に学ぶ意味からも、かつてニコラとPichileと共に「4大中学生雑誌」と呼ばれた残りの2誌、ハナチューラブベリーの休刊にいたる過程ついて、振り返ります。

4大中学生雑誌の部数推移

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4誌時代から2誌体制へ

まずは、上のグラフを見てください。これは、中学生雑誌の全盛期が終わり、いよいよ部数減が始まりつつあった2009年から2013年までの5年間の、各誌の売り上げをまとめたものです。

やがて休刊することになる2誌はもちろん、Pichileも下降。唯一、すでに当時から圧倒的部数を誇るニコラのみが、高い位置で安定していることが分かります。

冬の時代到来

そんな4大誌のうち、2011年の春、まず最初にハナチューがギブアップ。休刊時の部数は、わずか6万8千となっていました。

続いて翌年、こんどはラブベリーも休刊を発表。それが2012年の春で、休刊時の部数は、やはり10万を切った9万部。

では、この両誌は、なにも打つ手なく、部数を減らすがままに、静かに休刊していったのでしょうか。

もちろん違います。なんとか部数を回復し、休刊を回避しようと、それぞれ休刊の直前にリニューアルを行いました。

ラブベリーのリニューアル

より、分かりやすいのがラブベリーのリニューアル。2010年から2011年にかけて、脅威の3万部減という現実を前に、リニューアルで一発逆転を狙いました。

具体的には、当時、最もブームが盛り上がっていたAKBグループから、松井珠理奈さんや前田亜美さんといったメンバー数人を専属モデルに迎えるというもの。

もう、これだけでも衝撃なのに、さらには、ラブベリーが育ててきた、未来穂香さんや朝日奈央さんといった、生え抜きの人気専属モデルを外し、表紙にさえも毎月、むりやりAKB出すという徹底っぷり。

それも、専属モデルとして引っ張ってきたコンビではなく、ラブベリーとは何の関係も無い、前田敦子さんや板野友美さんといった、当時の単なる人気メンバーを表紙にだけ並べるという。

10ヶ月で休刊

もはや、ここまで来ると、それまでのラブベリーではありません。たしかに、AKBファンが買うことで、ある程度は部数は伸びたかもしれませんが、一方で、元からの読者はもちろん、本来の読者層である中学生は離れていきました。

ということで、2011年5月のAKB特化リニューアルから、2012年2月の休刊まで、わずか10ヶ月。一発逆転を狙うも、いっこうに部数は回復せず、ついに1年すら、もたなかったわけです。

ハナチューのリニューアル

続いては、ハナチューのケース。上のグラフには掲載できませんでしたが、実はハナチューの最盛期は2007年で、その数は、今のPichileを上回る15万部。

そこから、一気に下降を続け、最終的に休刊時6万8千ですので、なんと3年ちょっとの間で、8万部も減らしました。まさに、その落ち込みようは、ラブベリーや、最近のPichileの比ではありません。では、最後の挽回策として、ハナチュー編集部はどう動いたか。

自前オーデ実施

創刊以来、ハナチューの専属モデルは、いわゆる非オーデ限定、つまりは、事務所に所属するプロのモデルさんが独占していました。

その方針を一大転換。意を決して専属を一般の読者にも開放ということで、記念すべき第1回となる、一般公募のハナチュー専属モデルオーディションの開催です。

結果として、オーデの選考中も、部数の減少は一向に止まらず、ついに、合格発表すら出来ない状態で、休刊となってしまいましたが、最後の手段として「一般オーデ開催」という手を打ったことは確かです。

ちょっとウラ話

ちなみに、今だから言えるウラ話。その幻のハナチューオーディションにて、初代グランプリに内定していたコですが、一般向けの発表前に休刊決定ということで、当然に受賞を辞退。

その後どうなったかというと、所属が決まった某大手事務所の斡旋(あっせん)の元、やや強引に、Pichileに非オーデでスライド加入したりというゴタゴタもあったりしました。

休刊へのカウントダウン?

以上みてきたように、過去、低迷する部数を回復するため、無理矢理リニューアルに打って出た中学生雑誌は、そろって1年以内に休刊となっている事実が浮かび上がりました。

これが世に言う「10万部を割ってリニューアルした中学生雑誌は1年以内に100%休刊の法則」です。で、この「10万割れ」→「リニューアル」というパターンは、まさに今のPichileに、そっくりそのまま重なるわけです。

まとめ

無理に背伸びして、お姉さん雑誌のマネ事をしてみたり、29年の伝統あるタイトルロゴを意味もなく変えてみたり、そしてあげくに値上げです。

もしこの結果、古くからの読者の反発を買い、かつ、新しい読者も獲得できないという事態になったら、Pichileもラブベリーハナチューの二の舞になってしまいかねません。

ということで、今回のリニューアルは、まさに今から数ヶ月が勝負。不吉な前例を打ち破り、一気に部数が回復するのか。それとも、さらに下がるのか。部数の増減が、今後のPichileの行方を左右しそうです。