三月の転校生

中学生雑誌ニコラに関する考察

【最終結論】第9代ニコラ生徒会長を予想する

夕闇が迫る、ある日の放課後のオカルト研究会の部室。

窓の外からは、運動部の掛け声が微かに聞こえ、室内には、いつものようにお香のミステリアスな香りが漂っている。

​ふと、ぽにてが『ニコラ』の最新号を愛おしそうに撫でながら溜息をつく。

​「はぁ。。。星乃あんなちゃんたち09世代も、いよいよ4月から高2だね。ニコラ卒業かぁ。なんだか、一つの時代が終わる感じがして寂しいな」



​「マジそれな」

きんぱつが、スマホの手を止めて顔を上げた。

「あんなちゃん、生徒会長としてマジで完璧だったし。そうなるとさ、あんなちゃんの跡を継いで、次の会長になるの、誰だろ?」

ここで、​ぽにてが、期待を込めて部屋の隅でタロットカードをシャッフルしている、まじかるを振り返る。

​「ねぇねぇ、まじかる〜。いつもみたいに、その圧倒的なデータ量で『予言』してみせてよ!」

​まじかるは、カードを置くとゆっくり立ち上がり、瞳の奥を妖しく光らせた。

「運命は、すでに数字の羅列となってホワイトボードに浮き上がっております。解き明かしましょう、第9代の肖像を」

​まじかるは、ホワイトボードに手際よく、一覧表を書き始めた。

​「まずは、初代・川床明日香さんから、今の第8代・星乃さんまで、歴代8人の生徒会長を整理しましょう。これは、それぞれの世代における最終的な表紙回数の上位3人をまとめたデータでございます。また、名前が赤枠で囲ってある方は、その年度の生徒会長であることを意味します」

​「さて、お気づきでしょうか。8人いる会長のうち、実に7人もが各世代の表紙回数1位から選ばれているのです」

​「おー! ほぼ全員1位じゃん!!」

きんぱつが身を乗り出す。

​「はい。唯一の例外は、2021年度(05世代)の阿部ここはさんでございます」

「ホントだ!」

ぽにては目を丸くして、まじかるの説明を待つ。

「実は当時、圧倒的な人気を誇っての表紙回数1位は林芽亜里さんでした。しかし、林さんは本来、積極的に皆さんを引っ張っていくリーダータイプではなく、極めて控えめな性格です。ご自身でも、『私に役職は向かない』と仰っていました。そこで、表紙回数では劣るものの、抜群のコミュ力で現場をまとめる力のある阿部さんが、例外的に生徒会長に選ばれた、という経緯がございます」

​まじかるは、手に持ったマーカーをトントンと叩いた。

「つまり、よほどのことがない限り、その世代のナンバーワンがそのまま生徒会長に就任する。これがニコラの絶対法則でございます」



​「なるほどね。じゃあさ、4月から新高1になる十文字陽菜ちゃんたち《West世代》の表紙回数はどうなってんの?」

ぽにてが尋ねた。

​「では、それをお答えしましょう」

まじかるは、ホワイトボードに大きく名前を書き殴る。

​「現時点でのデータを見れば、松尾そのまさんがダントツでございます。表紙回数は7回で、2位の稲垣来泉さんの4回を大きく引き離しています」

​「あー、やっぱり!」

きんぱつが叫ぶ。

「そのまちゃん、勢いエグいもんね!」

​「その通りです。しかも松尾さんは、テレビのバラエティ番組にも多数出演されており、知名度・コミュ力ともに申し分ナシ。かつ、後輩たちからも慕われるリーダーシップと、なにより場を盛り上げる明るさも兼ね備えております。まさに生徒会長という重責を担うにふさわしい逸材といえるのです」

​そして、まじかるは最後に、いつもの不敵な笑みを浮かべて締めくくる。

​「では結論です。ニコラ第9代生徒会長は、松尾そのまさんで間違いありません 。彼女がニコモの新たな顔として、新生ニコラを再び黄金期へと導く。信じるか信じないかは、皆さん次第でございます」

​「うわぁ、そのまちゃんの生徒会長、マジで見てみたい!」

「だよね! よし、その予言が当たるかどうか、ニコラ5月号を正座待機しよっ!」

​夕闇の部室に、3人の明るい笑い声が響いた。