10円値上げ
3月1日発売の2023年3月号より、ニコラの定価がこれまでの560円から、新たに570円となることが発表されました。
今回の値上げはわずか10円ほどですが、では過去、どのくらいの頻度で、いくらずつ値上げされてきたのでしょうか。
今日はニコラの価格の推移と、今回の値上げのウラにある真の意味について考えます。
2種類の定価
本題に入る前に、そもそも「値上げといっても、今の3月号だって590円だし!」「すでに値上げされてる!」と思った人もいるかもしれません。
そこで、まずは定価にかんする基礎知識から整理します。
実は雑誌の定価には「特別定価」と「(通常の)定価」の2種類があるのです。
特別定価とは?
特別定価とは文字通り”特別な値段”が設定される場合をいいます。
例えば、2月号のような新年号。さらには、新学期号(4月号or5月号)や、夏休み号(8月号or9月号)などなど。
とくに付録が豪華だったり、カラーページが多かったりと様々な理由で、その号だけ特別に値段が高くなることがあり、これを特別定価といいます。
通常定価とは?
対して、それ以外の全部の号は、通常の定価が適用され、現在なら560円。次号からは570円で販売されることになります。
ということで、以下のデータは全て「通常の定価」を基にしています。
まずは、次のグラフを見て下さい。これは、2011年から現在まで、過去11年間におけるニコラの定価の推移をまとめたものです。
nicola定価の推移
4年に1度の改定
それまで450円だった定価が、2011年に480円となり、30円ほど値上げされました。
次の値上げは2015年。こんどは480円から20円ほどアップし、500円となります。
さらに2019年。再び20円ほど値上げされ、定価は520円となります。
と、ここまで2011年⇒2015年⇒2019年。まさにキッカリ4年ごとに定価の改定が行われていることが分かります。
突如1年で改定
ところが次の改定は、わずか1年後にやってきました。理由はもちろんコロナの影響により、一気に部数が落ち込んだためです。
しかも、値上げ幅は一挙に40円。過去最大の値上げということで、定価は560円まで上昇します。
実際、この時期はどこの雑誌も値上げや休刊が相次いでいだように、ニコラのケースも仕方のないところかもしれません。
実は定時改定
そして今回。2020年の改定から3年たったところで、10円の値上げが発表されたのです。
さてどうでしょう。もちろん、輸送費&紙代の上昇が、今回の値上げの要因であることは確かですが、それ以上に「改定の間隔」によるところも大きそう。
前回の改定が、コロナの影響による例外的なものであることを考えると、まさに前々回の2019年改定から4年後となっている点、なんのことはない。4年に1度の定時改定というわけです。
実質50円増
だからこそ、値上げ幅がたった10円にとどまったのも当然といえば当然。
前回の緊急値上げ分(40円)も加算すると、合計50円のアップとなるため、これらをまとめて4年ごとの改定として見るなら、実質50円分の上昇となるのです。
Popの異変
それにしても、様々なものの物価が大きく上がっている現状、ニコラのわずか10円アップは、少なすぎると思いませんか?
この点、Popteenのように、特別定価を連発し、去年の夏には一気に200円近くも上がったと思ったら、最後の休刊号は900円という驚きの値段に。
こうした常軌を逸した価格設定となった場合、そこは読者も「この雑誌そろそろ危ないんだ」「休刊のサインだ」と解釈できるわけです。
ニコラは大丈夫
対して、ニコラはというと、こうして10円、20円といった単位の地道なアップであり、それは純粋に諸経費の上昇に伴うもの。
むしろ今回、10円に抑えたのは、読者離れを防ぐための苦肉の手段と見ることもできます。
ともかく、現実的な価格設定であるうちは、編集部としても発行を続けていく意思が十分あるということ。ニコラはまだまだ大丈夫そうです。
【2023年11月01日追記】ニコラ2024年1・2月合併号は、過去最高の特別定価「690円」となります